【コーヒー飲んでたら投資家になってた件裏話 7話】あの朝、私は強制決済を知った。

コーヒーを飲んでたら投資家になった件シリーズ

信用取引って、なに?

信用取引という言葉を初めて聞いたとき、「なんかプロっぽい」と思っていた。

実際には、自分の手持ち資金を超えて株を売買できる仕組み

つまり、お金を借りて勝負に出るということだ。

特に「空売り」はその代表格。

まだ持っていない株を先に売ることで、値下がりすれば利益が出る。

たとえば1万円の株が明日9,000円になる気がしたら、

→今日1万円で売っておいて、

→明日9,000円で買い戻す。

→差額の1,000円が利益になる、という流れ。

理屈は簡単。でも、怖いのは逆に上がった時だ。

ほんとは一夜で手仕舞いするはずだった

その日、私はゲーム会社の株を1万円で200株、日計り(=その日のうちに決済)で空売りした。

「絶対、持ち越さないぞ」そう決めていた。

一夜のリスクが大きすぎることは、知識としては分かっていたから。

でも・・・

いろんなことが重なって、気づいたら夜の23時。

チャートを見る余裕もないまま、スマホを握って眠ってしまった。

朝、目覚めてすぐにアプリを開いた私は、息が止まりそうになった。

「ストップ高」

その3文字が、真っ先に目に飛び込んできた。

それは静かに、強制的にやってきた

ストップ高──つまり、株価が急騰しすぎてもう誰も売ってくれない状態。

空売りしている側からしたら、これは地獄だ。

「買い戻したいのに、誰も売ってくれない」

「株価がどんどん上がっていく」

「含み損がどんどん膨らんでいく」

「成行注文すら通らない。約定しない」

……とにかく、どうしていいかわからなかった。

証券口座の画面は、まっかっか。

−10万円、−20万円、−30万円……と数字が滑っていく。

そして数分後──

【強制決済】の文字が表示された。

証券会社が私の代わりに、とにかく高値でもいいから決済させる成行注文を実行したということ。

結果、1万円だった株はもっと高くなっていて、私は40万円の損失を確定させられた。

冷や汗。吐き気。震え。

「投資って、こんなにも一瞬で地獄を見せるんだ」

そう思った。

信用は、信じすぎると痛い

私はこの経験で、「信用取引」の怖さを骨の髄まで思い知った。

信用という言葉は、どこかプラスに聞こえる。

でも現実は、身の丈以上の力を使っているということ。

勢いだけで手を出したら、一晩で火傷する。

翌朝、笑って目覚められるとは限らない。

だからこそ、これから投資を始めようとする人には伝えたい。

信用取引は、最初に学ぶべき武器じゃない。

それは、経験を積んで、ルールを守って、ようやく握れる刃物だ。

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