目次
- はじめに:最近よく見る「セカスト」
- レンタルからの転換、ゲオHDの再成長
- リユース業界の成長と若者の「宝探し」需要
- ゲオHDの業績推移と注目事業
- TSUTAYAとゲオ、なぜ明暗が分かれたのか
- まとめ:ゲオは終わった会社なんかじゃない
はじめに:最近よく見る「セカスト」
最近、街でやたらと見かける「セカンドストリート」。
いわゆるリユースショップだけど、昔のリサイクル屋のイメージとはまるで違う。
店内は明るく、古着はキレイにディスプレイされ、若い世代がまるで宝探しでもするかのように商品を探している。
「これ1000円とかありえん!」「これ誰か手放したの?」
そんな会話が店内に飛び交っていて、まさに中古に対する価値観の変化を体感した。
このセカストを展開しているのが、あの「ゲオホールディングス」だと知って驚いた。
かつてDVDレンタルで一世を風靡した、あのゲオ。
でも今のゲオは、昔のゲオじゃない。
レンタルからの転換、ゲオHDの再成長
レンタルDVDの需要が急激に減っていった2010年代。
ゲオも当然、かつての主力事業であるレンタルからの脱却を迫られた。
そこで彼らが選んだのが、「リユース市場」への本格参入だった。
もともとゲオは2000年代から「セカンドストリート」を子会社化していたが、
2010年代後半から店舗数を急拡大。2020年代に入ると、街のあちこちでセカストの看板を見かけるようになる。
さらに、リユースだけではなく「ゲオモバイル」による中古スマホ市場への展開、
そして最近ではブランド品などの販売時期を過ぎてしまった新品の商品を扱う「ラックラック」という新業態まで展開している。
モールの一角にさりげなく入っているこのショップ、実はゲオの新顔だ。
ゲオは、時代とともにモノを貸すビジネスから、モノを再流通させるビジネスへとシフトした。
この業態転換が、彼らの息を吹き返す大きなきっかけとなったのだ。
リユース業界の成長と若者の「宝探し」需要
ここ数年、中古品に対するイメージは明らかに変わった。
メルカリやラクマなどのフリマアプリの浸透で、「中古はダサい」「人の使ったものは嫌だ」という感覚は薄れてきている。
そしてセカストのような店舗は、その中でも特に「掘り出し物感」「一点モノ感」で人気を集めている。
実際、セカストの古着は驚くほど状態がいい。タグ付き未使用品が普通に並んでいたり、
90年代リバイバル系のレアアイテムが意外な価格で出ていたりと、まさに宝探し。
とくにZ世代・ミレニアル世代は「被らないおしゃれ」「SDGs意識」も含めて、
中古に安さ以上の価値を見出している。
これが、セカストが「流行ってる」と言われる本当の理由かもしれない。

ゲオHDの業績推移と注目事業
では実際、ゲオホールディングスの業績はどうなのか?
参考データでは、ゲオHDの売上高は2020年から2024年にかけておよそ2400億円→2900億円へと成長。
営業利益も100億円→170億円と、安定的な右肩上がりを見せている。
これを支えているのが、「セカンドストリート」「ゲオモバイル」「ラックラック」といった国内事業だけでなく、
近年好調な海外展開も大きな一因となっている。
ゲオはセカンドストリートの海外出店にも力を入れており、現在はアメリカ・マレーシアなど複数国に進出。
とくにアジア圏では、日本の古着や雑貨への関心が高まっており、
「ジャパン・リユース」という新たな価値観を広める動きにもつながっている。
こうした国内外の多軸展開が、ゲオの売上と利益を支えているのだ。
それぞれが異なるターゲット層を持ちながらも、「再流通=リユース」という軸で繋がっているのが特徴だ。


中古スマホ市場においても、ゲオモバイルは「安心・実店舗・初期保証」などで一定の評価を得ており、
アプリや価格比較サイト経由での来店も増加傾向にある。
TSUTAYAとゲオ、なぜ明暗が分かれたのか
かつて、レンタル業界の2大巨頭だった「ゲオ」と「TSUTAYA」。
しかし、2020年代の姿はまったく違う。
TSUTAYAは直営店の多くを閉店し、地方のフランチャイズ店舗も撤退傾向にある。
大型のT-SITEなど一部の成功事例はあるものの、店舗としての数は激減している。
一方ゲオは、レンタルの衰退を察知するやいなや、
セカンドストリートを軸としたリユース展開に注力。
単なる延命措置ではなく、本格的な業態変化に踏み切った。
さらに、ゲオは中古スマホ・高齢者向けアパレルなど、異なるカテゴリへも地道に展開。
ブランド力よりも、柔軟性と再投資を武器に生き延びた。
ブランドで勝っていたTSUTAYAと、柔軟性で勝ったゲオ。
この差が、今の「明暗」に繋がったのかもしれない。
まとめ:ゲオは終わった会社なんかじゃない
かつての「レンタルビデオの時代」は、たしかに終わった。
でもゲオは、その終焉をただ受け入れるのではなく、
時代に合わせて変化することで、新たな道を切り拓いた。
セカンドストリートで宝探しを楽しむ若者、
ラックラックで服を選ぶ買い物客、
ゲオモバイルで中古スマホを買うサラリーマン
彼らをつなぐのは、「いいモノを、賢く買いたい」という新しい消費スタイルだ。
そしてその中心に、かつてレンタル屋だったゲオがいる。
そんな姿に、ちょっとだけグッときた。

💡 他の「街で見かけたシリーズ」も読む




コメント