ある看板を見て、電車を途中下車した日
※この記事は、note連載「コーヒー飲んでたら投資家になってた件」第21話の裏話&深掘りブログ版です。
目次
- 電車の窓から見えた、たった1枚の看板
- 「途中下車」ボタンを押したのは、好奇心だった
- 看板の向こう側に見えたもの
- チャートより先に、街がサインを出している
- 街は宝箱だと思えた瞬間
- これから投資を始める人へ、小さなおすすめ
電車の窓から見えた、たった1枚の看板
ある日の帰り道。
仕事終わりの電車の中、いつものようにコーヒーを片手に、ぼーっと窓の外を眺めていた。
スマホの株価アプリを開いては閉じて、タイムラインを眺めてはため息をついて…そんな「いつもの帰り道」だった。
ふと、窓の外に大きな看板が見えた。
明るいロゴ、見覚えのあるブランド名。
「あれ、この会社、最近ニュースで見たような…」
そう思った瞬間、なぜか胸がザワッとした。

今までも何度も通っている路線だ。
でも、その看板の存在に、私は一度もちゃんと気づいてこなかった。
投資を始める前の自分なら、視界に入っていても情報として認識していなかったと思う。
電車は何事もなく次の駅へ向かおうとしていた。
でも、その日だけは、視線が看板から離れなかった。
「あの場所、降りて見に行ってみたいな」
そう思った瞬間には、心の中で、すでに「途中下車ボタン」を押していた。
「途中下車」ボタンを押したのは、好奇心だった
次の駅に着く直前、私は立ち上がっていた。
予定にはなかった途中下車。

家に真っ直ぐ帰れば、きっと30分は早く帰れたと思う。
でも、このときの私は、それよりも 「自分の目で確かめたい」という気持ちのほうが強かった。
ホームに降りて、さっき見えた看板の方向へと歩いていく。
「あの交差点の向こうかな?」「駅からどれくらいの距離なんだろう?」
そんなことを考えながら歩いている自分が、なんだか少し可笑しかった。
数年前の私は、
・SNSの評判
・インフルエンサーの一言
・「おすすめ銘柄まとめ」みたいな記事
そんな情報ばかりを追いかけていた。
でも今は、自分の足で歩いて、自分の目で見て、確かめたくなっている。
投資を始めたことで、一番変わったのはそこかもしれない。
看板の向こう側に見えたもの
しばらく歩くと、その会社の店舗が見えてきた。
看板の下には、思っていた以上に人がいた。
テイクアウトの列、店内の席、出入りする人の表情。
数字では分からない「温度」が、そこにはあった。
「平日のこの時間帯で、この混み方はなかなかだな…」
「客層、思ってたより幅広いな」
「看板だけじゃなく、店舗の雰囲気もちゃんとブランドとして出来上がってる」
IR資料や決算短信には、売上や利益の数字は載っている。
でも、お客さんがどんな顔で店を出ていくのかは、どこにも載っていない。
それを知るためには、こうして現場に足を運ぶしかない。
店舗の前に立ちながら、ふと気づいた。
これはもう「視察」というより、
ただのファンの行動だ。
まだ株主でもないのに、その会社のこれからを、勝手に応援したくなっていた。
チャートより先に、街がサインを出している
投資を始めたばかりの頃は、
・ローソク足
・移動平均線
・出来高
そんな指標ばかりを見ていた。
でも、チャートはあくまで「結果」だ。
その結果が生まれる前には、必ず「原因」がある。
・人が集まる店
・SNSで自発的に話題にされるサービス
・街中でよく見るようになったロゴ
・いつも誰かが使っているようなアプリ
これらはすべて、未来の数字の前兆だ。
電車の窓から見えたたった1枚の看板は、
その「前兆」の一つだったのかもしれない。
もしあの日、途中下車をせずに真っ直ぐ帰っていたら、
私はきっと、そのサインを見逃したままだった。
「街を見る目」が育ってくると、ニュースの読み方も変わる。
ニュースで「好調」「成長」と言われる企業のロゴが、
自分の生活圏のどこに、どれくらい出現しているのか。
それを意識して見てみると、数字だけ見ているときとは違う感覚が生まれてくる。
街は宝箱だと思えた瞬間
店舗の前でしばらく様子を眺めたあと、
私はコーヒーを買って、近くのベンチに座った。
さっきまで「ただの通り道」だったこの駅が、
急に宝の地図の一部みたいに見えてくる。
「ああ、本当に街は宝箱なんだな」
そう思った。
特別な場所じゃなくていい。
いつもの駅、いつものコンビニ、いつものカフェ。
そのすべてが、企業の現在地と未来を教えてくれるヒントになっている。
投資を始める前の私にとって、街はただの「背景」だった。
でも今は違う。
・行列ができている店
・いつもガラガラな店
・新しくできた店舗
・消えていった看板
そういった一つひとつが、「なぜ?」という問いにつながっていく。
そして、その問いに向き合うことが、
いつの間にか私にとっての「投資の勉強」になっていた。
これから投資を始める人へ、小さなおすすめ
もしこれを読んでいるあなたが、
「これから投資を始めてみようかな」
と思っているなら、いきなり難しい本や専門用語から入らなくても大丈夫だと思う。
まずは、今日の帰り道からでいい。
・電車の窓から見える看板
・よく見るロゴ
・やたら混んでいるお店
・スマホの中で、みんなが使っているサービス
それらを「なんとなく」ではなく、
「ここって、なんでこんなに人がいるんだろう?」
という目で見てみてほしい。

そして、もし心がザワッとした看板やお店があったら。
少しだけ時間を使って、途中下車してみるのもアリだと思う。
株を買うかどうかは、そのずっと後でいい。
まずは、「自分の目」でその企業の空気を感じてみるところから。
チャートを見る時間を、ほんの少しだけ街を歩く時間に変えてみる。
それだけで、投資との距離はぐっと縮まる。
そして、いつもの景色が少しだけ違って見えてくる。
電車を途中下車してまで見に行きたくなるような看板に出会った日。
その日から、あなたにとっての「街の見え方」も、きっと変わり始めるはずだ。
ここまで読んでくれて、ありがとう。
もしあなたにも「途中下車したくなった看板」があったら、
ぜひコメントやX(旧Twitter)でそっと教えてもらえると嬉しい。
一緒に、街は宝箱だって世界を楽しんでいこう。
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