世界から猫が消えたなら、僕は何を失ったことに気づくだろう
正直に言うと、この本を手に取った理由は立派なものじゃない。
話題になっていたからでも、名作だと勧められたからでもなくて、
ただタイトルが、やけに胸に引っかかっただけだ。
『世界から猫が消えたなら』
その言葉を見た瞬間、少しだけ怖くなった。
そして、なぜか目を逸らせなかった。

なぜこの本を読もうと思ったのか
その頃の僕は、少し疲れていた。
特別に大きな不幸があったわけじゃない。
ただ、毎日が同じ速度で流れていって、
気づいたら「今日何してたっけ?」と振り返ることが増えていた。
ちゃんと生きているはずなのに、
ちゃんと感じていないような感覚。
そんなときに、このタイトルを見た。
世界から猫が消える。
ありえない話なのに、妙に現実味があった。
もしかしたら僕は、
「失う話」を通して、
今の自分を確かめたかったのかもしれない。
猫の話じゃなかった
読み始めてすぐに気づいた。
これは、猫の可愛さを語る物語じゃない。
もっと静かで、もっと残酷な話だ。
猫、電話、映画、時計。
作中では、次々と「当たり前に存在していたもの」が消えていく。
そのたびに、主人公は選択を迫られる。
読みながら、何度も思った。
もしこれが僕だったら、どうするだろう。
きっと即答なんてできない。
むしろ、軽く考えて、あとで後悔する気がした。
失ってから気づくということ
この本を通して、何度も突きつけられるテーマがある。
人は、失ってから大切だったことに気づく。
それは、誰もが知っているはずのことなのに、
なぜか日常では簡単に忘れてしまう。
当たり前にあるものほど、
「なくなる可能性」を考えない。
それは猫だけじゃない。
時間も、健康も、人との距離もそうだ。
この本は、それらを大げさに脅してこない。
ただ静かに、
「もし消えたら?」と問い続けてくる。
僕自身の話を少しだけ
僕はこれまで、何度も後悔してきた。
もっと早く休めばよかったとか、
あの人にちゃんと感謝を伝えればよかったとか。
その瞬間には、 「まだ大丈夫」「あとでいい」と思っていたことばかりだ。
でも、あとになって振り返ると、
それらは全部、戻らない。
この本を読んでいて、
過去の自分を責める気にはならなかった。
代わりに、 「今の自分はどうだろう」と考えさせられた。
読み終えた今、思うこと
この本を読んだからといって、
人生が劇的に変わるわけじゃない。
明日もたぶん、同じように仕事をして、
同じように一日が終わる。
でも、ひとつだけ変わったことがある。
コーヒーを飲む時間を、 前より少しだけ丁寧に感じられるようになった。
誰かとの何気ない会話を、 聞き流さずに受け取ろうと思えた。
それだけで、この本を読んだ意味はあったと思う。
もし最近、 毎日を流すように生きている感覚があるなら、
この本は、そっと立ち止まるきっかけをくれるかもしれない。
世界から猫が消えなくても。
気づかないうちに、 僕たちは大切なものを手放しているから。
『世界から猫が消えたなら』は、 「もし大切なものが一つずつ消えていったら?」という 少し不思議で、でもとても現実的な問いを投げかけてくる一冊です。
猫、電話、映画、時計。 どれも普段は意識しないけれど、 なくなった瞬間に生活や心にぽっかり穴が空くものばかり。
この物語は、 「失ってから後悔する前に、今をどう生きるか」を 静かに、でも確実に考えさせてくれます。
毎日をなんとなく過ごしている気がする人、 最近ちょっと立ち止まりたい人に、 そっと寄り添ってくれる本だと思います。
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