【コーヒー飲んでたらシリーズ 19話深掘】

コーヒーを飲んでたら投資家になった件シリーズ

持ってる株が伸びた日、街で勝手にお祝いしたくなった話

ある朝、いつものようにコーヒーを片手に証券アプリを開いたら、
見慣れた銘柄のチャートが、いつもと違う山を描いていた。

「え、こんなに伸びてたっけ?」

含み益の数字が、眠気を一瞬で吹き飛ばす。
もちろん、まだ確定利益じゃない。だけどその日一日、世界の見え方が少しだけ変わっていた。


目次


街に出たら、いつものコンビニが違って見えた

その日も、出勤前にいつものコンビニへ寄った。
コーヒーを買うためのルーティン。だけど、気分はいつもと全然違う。

レジ前のレイアウト、レジの混み具合、レジ横のホットスナック。
「この行列の一部が、あの売上になってるんだよな」
そう思うと、何気ない朝の風景が、決算の数字に直接つながっているように見えてくる。

店を出てからも、視線がやたら忙しい。
同じブランドの看板、ポイントカードの広告、店の前でスマホをかざす人。
すべてが、自分の持っている株の「今」を教えてくれている気がした。

18話で、失敗した銘柄から「街を見ろ」と教わった。
19話では、伸びている銘柄が「だからこそ伸びてるんだよ」と、街の景色を通して教えてくれた感じだった。

「ありがとう」って、誰に向かって言えばいいんだろう

含み益が大きくなってくると、不思議な感情が生まれる。

「このコンビニのスタッフさんたち、今日もレジ頑張ってくれてありがとう」
「新商品を企画してくれた人、ありがとう」
「出店場所を探してきた人、ありがとう」

もちろん、実際には誰にも聞こえていない。
ただ心の中で勝手に感謝しているだけだ。

でもその感謝は、単にお金が増えそうだからじゃない。
「この会社、ちゃんと街の中で必要とされてるんだな」
「このブランド、ちゃんと人の生活の中に溶け込んでるんだな」
それが目に見えるから、自然と湧き上がってくるものだった。

画面の中のチャートが伸びるより、
街の中でブランドが生きているのを感じられたときの方が、正直うれしい。

含み益が教えてくれた、投資家としての2つの視点

含み益が増えていくとき、頭の中には2つの声が同時に鳴る。

  • 「今売れば利益確定できるぞ」という、現金派の声
  • 「この会社、まだ伸びしろありそうだな」という、未来派の声

どっちが正解かは、いつだって結果論だ。
でもこの2つの声を行ったり来たりするうちに、気づいたことがある。

① 利益は「過去の結果」、企業の強さは「これからの物語」

今見えている含み益は、これまでの結果にすぎない。
過去の決算、過去の戦略、過去の努力の積み重ねの上に乗っている数字だ。

一方で、街に出て感じる熱気や人気は、これからの物語のヒントになる。
お客さんの表情、リピートの空気感、新しいチャレンジ。
そこにワクワクを感じるかどうかが、未来派の視点だ。

②「上がったから好き」じゃなく、「好きだから持っていたい」へ

最初の頃は、株価が上がったからその会社が好きになることが多かった。
でも街での存在感を意識するようになってからは逆転した。

「このブランド、好きだな」
「このサービス、なくなったら困るな」

そう思える会社ほど、チャートの上下だけで手放したくなくなる。
もちろん、リスク管理は大事だけど、
数字だけでは測り切れない「好き」が、ホールドの理由の一つになっていく。

街でお祝いしたくなる銘柄かどうか、という基準

その日の帰り道、ふとコンビニの前で足が止まった。
スマホの中では、相変わらず含み益の数字が揺れている。

「よし、今日はここで勝手にお祝いしよう」

缶コーヒーをもう一本買って、ベンチに座る。
夕焼けに染まる看板を眺めながら、心の中でひっそりと乾杯した。

そのとき、ふと思った。

— 自分が応援したくなる会社かどうか。
— 街でお祝いしたくなる銘柄かどうか。

これって、案外大事な指標なんじゃないかと。

決算書の数字だけでは、ここまでの感情は湧いてこない。
街の中で、ブランドが人の生活にどう馴染んでいるか。
その空気感まで含めて、「この会社にこれからも頑張ってほしい」と思えるかどうか。

もしそこにYESと言えるなら、
その銘柄は、ただの「お金を増やすための道具」から、
「一緒に物語を歩いていくパートナー」に変わっていく。

今日のまとめ/次回予告

☕ 今日のまとめ

  • 含み益が増えると、街の景色が「企業の今」に見えてくる
  • 利益は過去の結果、街の熱気はこれからの物語のヒント
  • 「上がったから好き」より「好きだから持っていたい」銘柄を増やしていく
  • 街でお祝いしたくなる会社かどうかが、長く付き合えるかのひとつの基準

📖 次回予告

【第20話】
「利益を確定した日、寂しさとスッキリが同時にやってきた話」
売るボタンを押したあとの、あの独特の静けさについて。

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