持ってる株が伸びた日、街で勝手にお祝いしたくなった話
ある朝、いつものようにコーヒーを片手に証券アプリを開いたら、
見慣れた銘柄のチャートが、いつもと違う山を描いていた。
「え、こんなに伸びてたっけ?」

含み益の数字が、眠気を一瞬で吹き飛ばす。
もちろん、まだ確定利益じゃない。だけどその日一日、世界の見え方が少しだけ変わっていた。
目次
- 街に出たら、いつものコンビニが違って見えた
- 「ありがとう」って、誰に向かって言えばいいんだろう
- 含み益が教えてくれた、投資家としての2つの視点
- 街でお祝いしたくなる銘柄かどうか、という基準
- 今日のまとめ/次回予告
街に出たら、いつものコンビニが違って見えた
その日も、出勤前にいつものコンビニへ寄った。
コーヒーを買うためのルーティン。だけど、気分はいつもと全然違う。
レジ前のレイアウト、レジの混み具合、レジ横のホットスナック。
「この行列の一部が、あの売上になってるんだよな」
そう思うと、何気ない朝の風景が、決算の数字に直接つながっているように見えてくる。
店を出てからも、視線がやたら忙しい。
同じブランドの看板、ポイントカードの広告、店の前でスマホをかざす人。
すべてが、自分の持っている株の「今」を教えてくれている気がした。
18話で、失敗した銘柄から「街を見ろ」と教わった。
19話では、伸びている銘柄が「だからこそ伸びてるんだよ」と、街の景色を通して教えてくれた感じだった。
「ありがとう」って、誰に向かって言えばいいんだろう
含み益が大きくなってくると、不思議な感情が生まれる。
「このコンビニのスタッフさんたち、今日もレジ頑張ってくれてありがとう」
「新商品を企画してくれた人、ありがとう」
「出店場所を探してきた人、ありがとう」
もちろん、実際には誰にも聞こえていない。
ただ心の中で勝手に感謝しているだけだ。
でもその感謝は、単にお金が増えそうだからじゃない。
「この会社、ちゃんと街の中で必要とされてるんだな」
「このブランド、ちゃんと人の生活の中に溶け込んでるんだな」
それが目に見えるから、自然と湧き上がってくるものだった。
画面の中のチャートが伸びるより、
街の中でブランドが生きているのを感じられたときの方が、正直うれしい。
含み益が教えてくれた、投資家としての2つの視点
含み益が増えていくとき、頭の中には2つの声が同時に鳴る。
- 「今売れば利益確定できるぞ」という、現金派の声
- 「この会社、まだ伸びしろありそうだな」という、未来派の声
どっちが正解かは、いつだって結果論だ。
でもこの2つの声を行ったり来たりするうちに、気づいたことがある。
① 利益は「過去の結果」、企業の強さは「これからの物語」
今見えている含み益は、これまでの結果にすぎない。
過去の決算、過去の戦略、過去の努力の積み重ねの上に乗っている数字だ。
一方で、街に出て感じる熱気や人気は、これからの物語のヒントになる。
お客さんの表情、リピートの空気感、新しいチャレンジ。
そこにワクワクを感じるかどうかが、未来派の視点だ。
②「上がったから好き」じゃなく、「好きだから持っていたい」へ
最初の頃は、株価が上がったからその会社が好きになることが多かった。
でも街での存在感を意識するようになってからは逆転した。
「このブランド、好きだな」
「このサービス、なくなったら困るな」
そう思える会社ほど、チャートの上下だけで手放したくなくなる。
もちろん、リスク管理は大事だけど、
数字だけでは測り切れない「好き」が、ホールドの理由の一つになっていく。
街でお祝いしたくなる銘柄かどうか、という基準
その日の帰り道、ふとコンビニの前で足が止まった。
スマホの中では、相変わらず含み益の数字が揺れている。
「よし、今日はここで勝手にお祝いしよう」

缶コーヒーをもう一本買って、ベンチに座る。
夕焼けに染まる看板を眺めながら、心の中でひっそりと乾杯した。
そのとき、ふと思った。
— 自分が応援したくなる会社かどうか。
— 街でお祝いしたくなる銘柄かどうか。
これって、案外大事な指標なんじゃないかと。
決算書の数字だけでは、ここまでの感情は湧いてこない。
街の中で、ブランドが人の生活にどう馴染んでいるか。
その空気感まで含めて、「この会社にこれからも頑張ってほしい」と思えるかどうか。
もしそこにYESと言えるなら、
その銘柄は、ただの「お金を増やすための道具」から、
「一緒に物語を歩いていくパートナー」に変わっていく。
今日のまとめ/次回予告
☕ 今日のまとめ
- 含み益が増えると、街の景色が「企業の今」に見えてくる
- 利益は過去の結果、街の熱気はこれからの物語のヒント
- 「上がったから好き」より「好きだから持っていたい」銘柄を増やしていく
- 街でお祝いしたくなる会社かどうかが、長く付き合えるかのひとつの基準
📖 次回予告
【第20話】
「利益を確定した日、寂しさとスッキリが同時にやってきた話」
売るボタンを押したあとの、あの独特の静けさについて。
💡 他の「コーヒー飲んでたら投資家になった件」も読む




コメント