最近、街を歩いていると「麻婆豆腐」という文字がやたら目に入るようになった。
中華料理店の一メニューではなく、
「麻婆豆腐専門店」「痺れ特化」「四川本場」
そんな言葉を前面に出した店が、明らかに増えている。
一時的なグルメブーム。
そう片づけることもできる。
でも投資家目線で街を見ると、この動きは少し違って見える。

麻婆豆腐ブームの正体は「味」ではなく「構造」
麻婆豆腐が流行っている理由は、単純に辛いからでも、SNS映えするからでもない。
本質はもっと構造的だ。
・材料が比較的シンプル
・調理工程が少ない
・原価率をコントロールしやすい
・専門店化しやすい
つまり麻婆豆腐は、飲食ビジネスとして非常に「設計しやすい料理」なのだ。
メニューを絞ることで人件費を抑え、
オペレーションを単純化し、
店舗展開を早める。
ラーメンほど重装備ではなく、
定食屋ほど価格競争にもならない。
麻婆豆腐は、今の外食産業が求めている「ちょうどいい商材」だった。
注目されているのは「花椒」というスパイス
もうひとつ、街の変化としてはっきりしていることがある。
それが「花椒(ホアジャオ)」だ。
以前は業務用中心だったこの香辛料が、
いまや一般家庭向け商品として普通に並び、
ECでも購入数が伸びている。
辛さではなく「痺れ」
刺激というより「体験」
この体感型調味料の登場が、麻婆豆腐を単なる料理から
一段上のカテゴリへ押し上げた。
投資家目線で見ると、ここが重要だ。
ブームの中心は飲食店ではなく、
スパイス・調味料・加工食品メーカー側に波及していく。
関わる企業は「飲食」だけじゃない
麻婆豆腐ブームに関わる企業は、意外なほど幅広い。
・花椒や香辛料を扱うスパイスメーカー
・業務用調味料メーカー
・レトルト食品メーカー
・冷凍食品メーカー
・中華食材専門の輸入商社
さらにその先には、
・包装資材
・食品印刷
・物流
・ECプラットフォーム
といった周辺産業まで連なっていく。
街で一皿の麻婆豆腐が流行るだけで、
想像以上に多くの企業が動く。
それが「街を見る投資」の面白さだ。

外食ブームは、必ず「家庭」に降りてくる
もうひとつ、これまでのトレンドを見て分かることがある。
外食で流行ったものは、必ず家庭に降りてくる。
タピオカも、韓国グルメも、サウナ飯もそうだった。
最初は専門店。
次にコンビニ。
その次にスーパー。
そして家庭用商品へ。
麻婆豆腐も、まさに今このフェーズに入っている。
実際、レトルト麻婆豆腐や花椒関連商品は、
「辛口」「本格四川」「痺れ特化」といった言葉を前面に出し始めている。
これは単なる商品改良ではない。
街の流行を、家庭に翻訳するフェーズだ。
街はいつも、少し先の未来を教えてくれる
投資を始めてから、街の見え方が変わった。
流行っている店を見ると、
「美味しそう」より先に、
「この裏で、どの企業が動いているんだろう」
そう考えるようになった。
麻婆豆腐ブームも、いつかは落ち着くかもしれない。
でも、
その過程で生まれた商品、技術、販路は消えない。
街で見かけた一皿の料理は、
企業の次の成長ヒントになっている。
今日もどこかの街角で、
湯気の立つ麻婆豆腐の向こう側で、
静かにお金と企業が動いている。
そう思いながら歩くと、
いつもの街が、少しだけ面白く見えてくる。
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