📘 目次
🍣 初めて「誰かのため」に器を使った日
自分で釣って、自分で捌いた魚を握り、それを自分で作った器に盛って出す。
そんな回りくどいことを、私はなぜか無性にやってみたくなった。
最初に声をかけたのは、もちろんケンタ。
私の作品第一号を、人生で一番見せたい人だったからだ。
食卓に並んだのは、いつもの自作寿司。
でも、その日は違った。「この器すごくない?」って聞く前に、彼の口が開いていた。
「お、なんだこの皿!?…なんか、すげぇ…」
この言葉が、たぶん一生忘れられない。

🎁 器を贈るという体験
この一件から、「器って贈り物になるんだ」と気づいた私は、
身近な人へのプレゼントとして、自作の器を渡すようになった。
・母の誕生日に似合うマグカップ
・友達の引っ越し祝いに、取り皿と箸置きセット
・甥っ子には、ちょっと不格好だけどかわいいミニどんぶり
どれもラッピングして、メッセージカードを添えて。
「使ってくれるかな?」って不安もあったけど、反応は予想以上だった。
「え、これ本当にあなたが作ったの?」
「すごい…これ、毎日使うね!」
自分の「好き」が、誰かの日常に溶け込むというのは、本当に嬉しい。
💍 小皿がつないだ、奇跡のプロポーズ
ある日、かつて私がプレゼントした小皿がプロポーズの舞台になったという連絡が届いた。
なんとそのカップルは、ふたりで作った料理をその小皿に盛って毎日食べていて、
プロポーズの時、その器と一緒に「これからもこのお皿でご飯を食べよう」って伝えたらしい。
私は、号泣した。
器がなければプロポーズができなかったとは思わない。
でも、あの器が、ふたりの思い出の一部になれたのなら…
私はこの手で、誰かの特別な瞬間を少しだけ彩れたのなら、もう十分だと思った。

📝 あとがき:感動の種を蒔き続けたい
作品は作品でしかないけれど、
そこに誰かの思い出が重なった瞬間、魔法になる。
私はアーティストでも陶芸家でもないけど、
この魔法の瞬間に立ち会えるなら、どれだけ時間がかかっても作り続けたい。
「好き」が巡り、笑顔が生まれて、小さな感動の輪になる。
そんな奇跡を、これからもそっと蒔き続けていきたいと思っている。
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