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街で見かけたシリーズ16話 深掘り

ペイクライド & ヒット──デジタルサイネージ市場で伸びる2社の戦略と業績分析

1. 市場背景:拡大を続けるデジタルサイネージ市場

世界のデジタルサイネージ市場は、

2023年時点で約240億ドル(約3.5兆円)規模。

年平均成長率(CAGR)は**7〜8%で、2030年には約400億ドル(約5.8兆円)**まで拡大すると予測されている。

日本国内市場も右肩上がりで、観光需要の回復・都市再開発・5G普及が後押ししている。

中でも、屋外大型ビジョンや商業施設向けサイネージは広告単価が高く、収益性が高い領域だ。

2. ペイクライド(ペイクラウドグループ)

事業概要

ペイクライドはキャッシュレス決済、マーケティング、そして子会社クラウドポイントによるデジタルサイネージ事業を展開。

全国25,000ヶ所以上、計58,000面以上のサイネージ設置実績を持つ。

直近業績(2024年12月期)

  • 売上高:368億円(前年比 +22%)
  • 営業利益:25億円(前年比 +31%)
  • 営業利益率:6.8%
  • サイネージ事業売上構成比:約38%

決済・マーケティング・広告を一体化できるビジネスモデルは、

広告単価の上昇+取引データの蓄積という2重の成長エンジンを持つ。

成長要因

  • 駅ナカ・大型商業施設での採用拡大
  • 2024年に飲食チェーン向け「広告×決済」パッケージを提供開始
  • インバウンド需要の回復による空港・観光地での導入増

3. ヒット(HIT)

事業概要

ヒットは**DOOH(Digital Out-of-Home)**広告を中心に展開。

渋谷駅前の「秋田犬が飛び出す3D映像」など、話題性の高い大型ビジョン広告を制作・運営。

直近業績(2024年9月期・IPO時点の開示)

  • 売上高:54億円(前年比 +18%)
  • 営業利益:6.2億円(前年比 +25%)
  • 営業利益率:11.5%
  • 自社所有ビジョン数:都内中心に15基、全国35基以上

成長要因

  • SNS拡散を狙った3D映像需要の拡大
  • 観光都市・繁華街への大型ビジョン設置
  • イベント連動広告(季節・映画公開・スポーツ大会)

4. 投資視点での比較

ペイクライドは「面で攻めるインフラ型」。

全国ネットワークを活かし、広告から購買までの流れを作るDXモデル。

安定成長+決済データ活用による追加収益が期待できる。

ヒットは「点で刺すショー型」。

広告のインパクト重視で単価を高く設定でき、SNSバズ効果も見込める。

成長スピードは速いが、立地と話題性に依存する部分もある。

5. 今後の注目ポイント

  • AI広告配信:顔認識でターゲット広告、天候・時間帯別の最適化
  • インバウンド回復:空港や観光地でのデジタル広告単価上昇
  • イベント需要:大阪万博・パリ五輪など大型イベントでの露出拡大

💡 まとめ

  • 安定成長・データ活用型を狙うなら → ペイクライド
  • 話題性・短期収益型を狙うなら → ヒット

デジタルサイネージは“街の景色”を変えるだけでなく、

広告・小売・決済の境界をなくす市場に進化している。

都市の未来を読むことは、そのまま投資の先読みになるかもしれない。

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