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【新シリーズ裏ストーリー10話】 ただ甘かったじゃない、心がふわっとほどけた午後

ストレスで潰されそうになったシリーズ 裏話

退職してからの私は、

毎日を「とにかく乗り切る」だけだった。

朝になっても布団から出られない。

部屋のカーテンは閉じっぱなし。

人と話すことも、笑うことも、

まるで過去の出来事みたいに感じていた。

それでも、少しずつ日々は変わっていった。

小さな習慣が、私を「外」へ連れていった

最初は、朝のカーテンを開けるだけ。

それすらできなかった私にとって、

光を浴びることは勇気のいることだった。

次に始めたのは、コンビニでコーヒーを買うこと。

そして、ほんの少しだけ歩くこと。

どれも大したことじゃない。

でも私にとっては、「世界とつながる」感覚をくれる、

かけがえのない習慣だった。

楽しさは、思い出すものじゃなく「感じるもの」だった

そんなある日。

なんとなく、歩いて10分の公園に寄ってみた。

暑すぎず、少し風のある午後。

木陰のベンチに座って、コンビニで買ったスイーツをそっと開ける。

ひと口。

思ったより、甘くて、やわらかくて、

食べた瞬間に、なんだか胸がふわっとゆるんだ。

ふと空を見上げると、白い飛行機雲が一本、すーっと伸びていた。

隣のベンチでは、小さな子どもがシャボン玉を追いかけて笑っていた。

その時、突然こう思った。

「あ、私……今、楽しいって感じてるかも」

感じたのは、ささやかだけど確かな「希望」

嬉しさというより、

「あ、私はまだ、楽しいと思える人間だったんだ」という驚き。

灰色だった心に、ほんの少し色が戻ったような感覚。

それは、大げさじゃなく救いだった。

「もう一度、好きなものを見つけていけたら」

この午後があって、私はやっと信じられた。

「私、ちゃんと回復してる」って。

もちろんまだ、毎日が明るいわけじゃない。

また沈む夜もあるし、孤独な瞬間もある。

でもあの時感じた楽しいが、確かに私の中に残っている。

今はまだ、夢中になれるものとか、生きがいなんてものはない。

でも、「なんかいいかも」って思えることを、ひとつずつ拾っていきたい。

私の再出発は、

ただのスイーツと、飛行機雲と、子どもの笑い声から始まった。

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