【ストレスに潰されかけた私シリーズ 海外編 第2話】 空港の朝、さよならを言えなかった理由

ストレスで潰されそうになったシリーズ 海外編

目次

空港の朝、心が止まった瞬間

出発ロビーのガラス越しに、朝日が差し込み始めていた。 眠気と緊張が入り混じったあの空気の中で、 キャリーケースの車輪だけが、床を静かに滑っていく。

チェックインを終えても、胸の奥は落ち着かない。 スマホの画面を開いては閉じてを繰り返した。

送りたい言葉は「行ってきます」。
たったそれだけ。 それなのに、指先がどうしても動かなかった。

その一文を送ることで、 本当に行ってしまう気がしたからだ。


なぜ「さよなら」が言えなかったのか

人は、本当に離れたくないときほど、 言葉が小さくなる。

心のどこかで、誰かが引き止めてくれる気がしていた。 でも、通知は鳴らない。 世界は、いつも通りに流れている。

自分だけが、新しい朝にぽつんと取り残されたようだった。


前夜の手紙が残したもの

搭乗ゲート前のベンチに腰を下ろした瞬間、 前夜に書いた手紙の一文がふと浮かんだ。

「もう、無理しなくていい。 ちゃんと生きてるだけで、十分だよ。」

あの言葉は、自分へ向けたメッセージでもあった。 それなのに、いざ別れの瞬間になると、 また強がる自分が顔を出した。

「大丈夫。」 そう口にしながら、 本当は誰かに助けてほしかったのかもしれない。


静かなさよならが、心に残る理由

アナウンスが流れ、搭乗が始まった。 列がゆっくりと進む中、 私は一度だけ振り返った。

ガラスの向こうの空は、もう完全に明るい。

「さよなら。」 口の中で呟くだけで、声にはならなかった。

たぶん、言葉よりも静かなさよならの方が、 心には長く残るのだと思う。


✈️ 次回予告

次回:No worries の国で、肩の力が抜けた日。
それは、誰かの言葉じゃなくて、 空気そのものの優しさだった。

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