ゲリラ豪雨で勤務先の倉庫が約50cm浸水した経験から、街を守る企業について調査。荏原製作所のポンプ事業、世界での活躍、半導体製造装置、最新の売上や強みを投資初心者にも分かりやすく解説します。
最近、ゲリラ豪雨による浸水被害のニュースを目にすることが増えました。
道路があっという間に川のようになり、車が動けなくなったり、住宅や店舗にまで水が流れ込んだり。

昔は「何十年に一度の大雨」と聞くと、本当にめったに起こらない出来事のように感じていました。
ところが今では、毎年のように全国のどこかで大きな浸水被害が発生しています。
実は私自身も、去年のゲリラ豪雨で勤務先の倉庫が約50cm浸水しました。
倉庫の中に水が流れ込み、床に置いてあった物を慌てて高い場所へ移動させる。
水が引いたあとも、泥を取り除き、濡れてしまった荷物を確認し、倉庫の中を何度も掃除する。
ニュースで浸水被害を見ることはありましたが、まさか自分の身近な場所で起こるとは思っていませんでした。
約50cmの浸水は、数字で見る以上に大きな被害でした。
あの経験をしてから、豪雨のニュースを見るたびに、あることが気になるようになりました。
「大量に降った雨を、街の外へ排出しているのは誰なんだろう?」
「地下街や住宅街が簡単に水没しないように、どんな設備が働いているんだろう?」
そこで調べていて出会ったのが、今回紹介する荏原製作所です。
最初は私も、名前を聞いて「何を作っている会社なんだろう?」と思いました。
しかし詳しく調べてみると、豪雨から街を守る大型ポンプだけでなく、ビル、工場、発電所、環境施設、さらには半導体の製造現場まで支えている企業でした。
しかも、日本国内だけでなく世界各地で事業を展開しています。
今回は荏原製作所について、
- どんな会社なのか
- 豪雨対策にどのように関わっているのか
- 世界でどのような活躍をしているのか
- なぜ半導体関連企業としても注目されるのか
- 売上や利益は伸びているのか
- 投資家目線ではどこに注目すればいいのか
といった点を、投資初心者にも分かりやすく紹介していきます。
普段は見えない場所で働いている企業を知ると、豪雨のニュースだけでなく、いつもの街の見え方まで少し変わるかもしれません。
荏原製作所とはどんな会社?
荏原製作所は、ポンプをはじめとする産業機械を手掛ける日本企業です。
創業は1912年。
100年以上にわたり、水や空気、ガスなどを「動かす」「送り出す」「圧力を変える」といった技術を磨いてきました。
「荏原製作所」という名前だけを見ると、一般の人には少しなじみが薄いかもしれません。
私もスーパーや飲食店のように、街中で大きな看板を目にした記憶はほとんどありませんでした。
それもそのはずです。
荏原製作所の製品は、私たちが普段目にする場所よりも、建物の地下や工場、下水処理施設、河川のポンプ場、半導体工場などで使われることが多いからです。

つまり、目立つ会社ではないけれど、社会を動かすためには欠かせない会社。
まさに「縁の下の力持ち」という言葉が似合う企業です。
荏原製作所が手掛けている主な分野
荏原製作所は、現在、大きく分けて次のような分野で事業を展開しています。
- ビルや工場などで使われるポンプ・冷却設備
- 石油・ガス・発電分野で使われるコンプレッサーやタービン
- 河川や下水道で使われる大型排水ポンプ
- ごみ処理施設などの環境関連設備
- 半導体を作るための製造装置
一言で「ポンプの会社」と表現してしまうと、その全体像が伝わりにくいほど幅広い事業を持っています。
水害対策のように暮らしを守る分野と、AIやスマートフォンに欠かせない半導体分野。
一見するとまったく違う事業に見えますが、どちらにも荏原製作所が長年培ってきた流体技術や精密技術が生かされています。
ゲリラ豪雨から街を守る排水ポンプ
今回、私が荏原製作所を調べるきっかけになったのが、豪雨対策に使われる排水ポンプです。
短時間に大量の雨が降ると、道路や住宅地にある排水口だけでは処理が追いつかなくなることがあります。
河川の水位が上昇している場合、集まった雨水が自然に川へ流れにくくなることもあります。
そこで活躍するのが、排水機場やポンプ場に設置された大型ポンプです。
街や地下施設に集まった大量の雨水をくみ上げ、河川や海などへ排出することで、浸水被害を抑える役割を果たします。
排水ポンプが使われる主な場所
- 河川沿いの排水機場
- 下水処理施設
- 地下街や地下鉄
- 道路のアンダーパス
- 工場や物流施設
- 住宅地の雨水ポンプ場
普段は建物の中や地下に設置されているため、私たちが直接見る機会はほとんどありません。
しかし大雨が降ったときには、大量の水を街の外へ送り出すために動き続けています。
私が勤務先の倉庫で浸水を経験したときも、水が入ってくる勢いの速さに驚きました。
ほんの数十分の雨でも、排水が追いつかなければ水位は一気に上がります。
もし街の各地にある排水設備が動いていなかったら、被害は実際に報道されているものより、さらに大きくなっていたのかもしれません。
私たちは雨がやみ、水が引くと、何となく「自然に水がなくなった」と思ってしまいます。
でも、その裏側では巨大なポンプや、それを管理する人たちが働いています。
「水が引く」という当たり前の景色も、実は技術によって支えられていたのです。
浸水後の復旧を支える排水ポンプ車もある
荏原製作所は、固定された大型ポンプだけでなく、豪雨による浸水後の早期復旧を目的とした排水ポンプ車向けのポンプも手掛けています。
排水ポンプ車は、浸水した地域へ移動し、たまった水をくみ上げて排出する車両です。
道路や住宅地、工場などに水が残り続けると、復旧作業を始めることができません。
まず水を外へ出さなければ、片付けも、設備の点検も、生活の再建も始められないのです。
自分自身が浸水後の片付けを経験したからこそ、素早く水を排出する技術の重要性を強く感じます。
日本最大級の排水ポンプ場でも活躍
荏原製作所の公式サイトでは、日本最大級の排水ポンプ場に大型ポンプを納入した事例も紹介されています。
そこでは、羽根車の直径が約4.2メートルもある大型ポンプが6台使われています。
直径4.2メートルと聞いても、なかなか大きさを想像できません。
一般的な部屋の天井の高さよりもはるかに大きな羽根車が、水を動かすために回っているということです。
私が調べ始めたときに想像していた「ポンプ」は、家庭で使う小さな電動ポンプのようなものでした。
ところが、街や河川を守るポンプはスケールがまったく違いました。
こうした巨大設備が目立たない場所に設置され、日々点検や整備を受けながら、いざというときに備えています。
豪雨のニュースでは、どうしても冠水した道路や浸水した住宅に目が向きます。
しかしその画面の外では、被害を少しでも抑えるために動いている設備がいくつもあるのです。
荏原製作所は世界でも活躍するグローバル企業
荏原製作所について調べて、もう一つ驚いたのが海外事業の大きさです。
日本の河川や下水道を支えている企業というだけでなく、アジア、北米、南米、ヨーロッパ、中東など、世界各地に事業拠点を持っています。
世界では、人口増加や都市化によって水の需要が増えている地域があります。
一方で、気候の変化による豪雨や洪水、水不足、老朽化したインフラへの対応に悩む地域もあります。
必要とされる設備は国や地域によって異なりますが、水をくみ上げ、運び、処理する技術が重要であることは共通しています。
荏原製作所は、中国の国家的な水関連プロジェクトへのポンプ納入など、海外の水インフラでも実績を持っています。
近年は日本だけでなく、世界各地で豪雨や洪水の被害が報じられています。
そうしたニュースを見ると胸が痛みます。
でもその一方で、日本で長年培われてきたポンプや排水の技術が、世界のどこかで街や人々の生活を支えている場所もあるのだと思います。
もちろん、荏原製作所の設備だけですべての水害を防げるわけではありません。
降水量、河川の状況、街の地形、下水道の処理能力など、浸水被害にはさまざまな要因があります。
それでも、被害を少しでも小さくし、復旧を早めるために、こうした日本企業の技術が役立っています。
普段は見えない日本の技術が、世界のどこかで誰かの日常を守っている。
そう考えると、少し誇らしい気持ちになりました。
ポンプだけじゃない!半導体製造装置も大きな柱
荏原製作所を「水害対策やポンプの会社」だと思って調べ始めた私が、最も驚いたのが半導体事業です。
実は荏原製作所は、半導体を製造する工場で使われる精密機械も世界中に供給しています。
主な製品には、次のようなものがあります。
- CMP装置
- ドライ真空ポンプ
- 排ガス処理装置
- オゾン水製造装置
- めっき装置
名称だけを見ると、何に使う装置なのか分かりにくいですよね。
私も最初は、半分くらい呪文に見えました。
そこで、代表的なCMP装置とドライ真空ポンプについて簡単に見ていきます。
CMP装置とは?
CMPとは、半導体の材料となるウエハーの表面を平らに磨く工程です。
半導体は、一枚の板に単純な回路を描いて完成するものではありません。
非常に細かな回路や材料を何層にも重ねて作られます。
表面にわずかな凹凸が残ったままだと、その上に次の層を正確に作ることが難しくなります。
そこで、表面を化学的・機械的に磨き、きれいに平らにするCMP装置が必要になります。
半導体が高性能になるほど構造は複雑になり、微細化や多層化も進みます。
そのため、非常に高い精度で表面を平らにする技術が重要になります。
荏原製作所は、このCMP装置を世界の半導体メーカーへ供給しています。
ドライ真空ポンプとは?
半導体の製造工程では、空気中の小さなほこりや不純物が製品に影響を与えることがあります。
そのため、装置の内部を真空に近い状態にして処理する工程が数多くあります。
そこで使われるのがドライ真空ポンプです。
装置内部の気体を排出し、半導体を安定して製造できる環境を作ります。
スマートフォン、パソコン、自動車、データセンター、生成AIなど、半導体が使われる場所は増え続けています。
荏原製作所は、完成した半導体そのものを作る会社ではありません。
しかし、その半導体を作るために欠かせない装置を供給しています。
表からは見えにくいけれど、成長産業の土台を支えている企業なのです。
荏原製作所の最新売上は約9,583億円
では、荏原製作所の業績は実際にどうなっているのでしょうか。
2025年12月期の連結決算では、売上収益が約9,583億円となりました。
前年の約8,667億円から約10.6%増加しています。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 | 前年からの変化 |
|---|---|---|---|
| 売上収益 | 約8,667億円 | 約9,583億円 | 約10.6%増 |
| 営業利益 | 約980億円 | 約1,138億円 | 約16.2%増 |
| 親会社の所有者に帰属する利益 | 約714億円 | 約766億円 | 約7.3%増 |
| 営業利益率 | 11.3% | 11.9% | 0.6ポイント上昇 |
売上だけでなく、営業利益や最終的な利益も増えています。
さらに、2025年12月期は受注高、売上収益、営業利益、親会社の所有者に帰属する利益が、いずれも過去最高となりました。
売上が約10.6%増えたのに対して、営業利益は約16.2%増えています。
単に仕事の量が増えただけでなく、利益を生み出す力も高まったことが分かります。
2025年12月期の営業利益率は11.9%。
売上が100円あった場合、そのうち約11.9円が本業の利益として残ったイメージです。
大型機械や社会インフラを扱う企業でありながら、2桁の営業利益率を確保している点は注目したいところです。
ただし、この成長がすべて豪雨対策によるものというわけではありません。
荏原製作所は複数の事業を展開しており、2025年12月期は特に精密・電子分野、環境関連、インフラ分野などが利益の増加に貢献しました。
豪雨が増えればそのまま売上が増えるという単純な会社ではなく、社会インフラと成長産業の両方を持っていることが、荏原製作所の特徴です。
後半では、事業別の売上と利益、荏原製作所ならではの強み、今後の成長性、配当、投資家目線で見た魅力とリスクを詳しく見ていきます。
事業別に見る荏原製作所の強み
荏原製作所の魅力は、「一つの商品だけに頼っていない」ことです。
現在は大きく分けて次の4つの事業で成り立っています。
建築・産業カンパニー
ビルや工場、商業施設などで使用されるポンプや空調設備を手掛けています。
大型マンションや病院、ホテルなどにも採用されており、私たちが普段利用している建物の中でも活躍しています。
エネルギーカンパニー
石油・天然ガス・発電所などで使用される大型ポンプやコンプレッサーを製造しています。
エネルギーを安定して供給するためには欠かせない設備です。
インフラカンパニー
今回紹介した豪雨対策の排水ポンプや上下水道設備、ごみ処理施設などを担当しています。
景気に左右されにくく、自治体や公共事業との関わりが深いのも特徴です。
精密・電子カンパニー
半導体製造装置を開発・製造しています。
現在の荏原製作所を大きく成長させている中心事業の一つでもあります。
このように、生活インフラから最先端技術まで幅広く事業を持っていることが、荏原製作所の大きな強みです。
荏原製作所が強い3つの理由
世界中で事業を展開している
売上の約3分の2が海外です。
日本だけに依存していないため、世界経済の成長を取り込める企業でもあります。
現在では100社以上のグループ会社を持ち、多くの国で事業を展開しています。
社会インフラは簡単になくならない
道路や下水道、水道、河川。
これらは景気が悪くなったからといって必要なくなるものではありません。
むしろ老朽化した設備の更新や豪雨対策など、今後も需要が続く可能性があります。
AI時代を支える半導体
生成AI、自動運転、クラウドサービス。
これらが普及するほど半導体需要は増えていきます。
半導体を製造するための装置を供給する荏原製作所にも、中長期では追い風になる可能性があります。
投資家目線で見る荏原製作所
私が調べていて感じた魅力は、大きく4つありました。
成長と安定を両方持っている
豪雨対策や上下水道などのインフラ事業は比較的安定しています。
一方で半導体関連は成長産業です。
この二つを持っていることは大きな魅力だと感じました。
海外比率が高い
世界中で事業を展開しているため、日本国内だけではなく海外の成長も取り込めます。
円安が追い風になる場面もあります。
財務も比較的しっかりしている
利益率も改善傾向にあり、近年は過去最高益を更新しています。
長期的な成長を目指す企業として期待する投資家も少なくありません。
配当も増加傾向
近年は利益の成長に合わせて配当も増やしてきました。
株価だけではなく、配当を楽しみに保有する投資家もいます。
もちろんリスクもある
どんな企業にもリスクはあります。
- 半導体市場の景気変動
- 大型プロジェクトの遅れ
- 世界経済の影響
- 為替変動
- 公共事業の減少
また、「豪雨が増える=必ず売上が伸びる」という単純な話ではありません。
企業を判断するときは、一つのニュースだけではなく、決算や中長期の成長戦略まで確認することが大切です。
実際に調べてみて感じたこと
私は去年、勤務先の倉庫が約50cm浸水しました。
その時は、ただただ目の前の片付けに追われるばかりでした。
でも今回調べてみて思ったのは、街には見えないところで支えてくれている人や企業がたくさんあるということです。
地下で動き続ける大型ポンプ。
雨水を排水する設備。
それを設計し、製造し、点検する人たち。
私たちが「水が引いてよかった」と思える裏側には、多くの技術と努力がありました。
そして、その技術は日本だけでなく世界でも活躍しています。
ニュースでは豪雨による被害が報じられることが多いですが、その裏側では日本企業の技術が世界中の街を守るために役立っている場所もあります。
そう考えると、日本のものづくりって本当にすごいなと改めて感じました。
まとめ
荏原製作所は、単なる「ポンプメーカー」ではありませんでした。
- 街を豪雨から守る排水設備
- 上下水道などの社会インフラ
- 世界中で活躍する水関連技術
- AI時代を支える半導体製造装置
こうした幅広い事業を持ち、100年以上にわたって社会を支え続けています。
普段の生活では名前を聞く機会は少ないかもしれません。
でも、私たちが安心して暮らせる毎日や、世界中のインフラを陰で支えている企業の一つです。
去年の浸水を経験したからこそ、この会社の存在を知ることができました。
何気なく流していた豪雨のニュースも、その裏側で働く技術や企業を知ることで、少し違った景色に見えるようになりました。
これからも「街で見かけた気になる企業」シリーズでは、普段はあまり目立たないけれど、私たちの暮らしを支えている企業を紹介していきたいと思います。
よくある質問(FAQ)
Q. 荏原製作所は何を作っている会社ですか?
ポンプを中心に、上下水道設備、環境関連設備、エネルギー関連機器、半導体製造装置などを開発・製造している総合機械メーカーです。
Q. 豪雨対策に関係していますか?
はい。河川や下水道、地下街などで使用される大型排水ポンプを製造しており、水害対策を支える企業の一つです。
Q. 世界でも活躍していますか?
はい。海外売上比率は約3分の2で、100社以上のグループ会社を通じて世界各地のインフラや半導体産業を支えています。
Q. 投資先としてどうですか?
インフラ事業による安定性と、半導体事業による成長性の両方を持つ点が魅力です。一方で、景気や設備投資の影響を受けるため、決算や事業環境を継続的に確認することが大切です。
※この記事は特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断は必ずご自身で行ってください。



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