街で見かけた気になる企業62話 深掘り 買取店はなぜ急増?買い取った商品は本当に売れているのか

街で見かけた企業シリーズ 深掘り

最近、街を歩いていると、以前よりも明らかに増えたと感じるお店があります。

それが、買取店です。

買取大吉、おたからや、バイセル、なんぼや、コメ兵。
さらに、ゲオやセカンドストリートまで含めると、私たちの生活圏には想像以上に多くの買取店があります。

駅前にもある。商店街にもある。ショッピングモールにもある。

歩いていると、また買取店だ。
少し先にも、また別の買取店だ。

そこで、ふと疑問に思いました。

こんなにたくさんの商品を買い取って、本当に売れているのだろうか?

今回は、街に増えている買取店を、少しだけ投資家の目線で見てみたいと思います。

買取店が増えているのは、物価高だけが理由ではない

最初に思いつくのは、やはり物価高です。

食料品も日用品も値上がりし、生活費の負担は少しずつ大きくなっています。

そんな状況では、

  • 使っていない物を売って家計の足しにしたい
  • 新品よりも安い中古品を買いたい
  • 家に眠っているブランド品や貴金属を現金化したい

と考える人が増えるのは自然な流れです。

ただ、買取店が増えている理由は、それだけではありません。

金価格の上昇で、家に眠っていた物が資産になった

最近は金価格の上昇がニュースになることも増えました。

昔買った指輪やネックレス、金貨などが、購入時より高く売れるケースもあります。

本人にとっては長年使っていなかった物でも、買取店から見れば価値のある在庫です。

「家の中を整理したら、思わぬ資産が出てきた」

そんな経験をする人が増えれば、買取店を利用する心理的なハードルも下がっていきます。

生前整理や遺品整理の需要もある

高齢化が進む日本では、生前整理や遺品整理の機会も増えています。

家の中には、時計、着物、食器、切手、古銭、カメラ、ブランドバッグなど、価値が分かりにくい物がたくさんあります。

一つずつ自分でフリマアプリへ出品するのは大変です。

その点、店舗買取や出張買取なら、まとめて査定してもらえます。

価格だけでなく、面倒な作業を代わりに引き受けることも、買取店が提供している価値なのだと思います。

買い取ってばかりで、本当に売れているの?

ここが一番気になるところです。

街の買取専門店を見ると、店頭に商品がほとんど並んでいないことがあります。

入口には大きく「高価買取」と書かれている。
でも販売コーナーは見当たらない。

すると、

「買った商品は、いったいどこへ行くの?」

と思いますよね。

実は、買い取った商品がその店舗で販売されるとは限りません。

主な販売先には、次のようなものがあります。

  • 自社の中古販売店
  • 自社ECサイト
  • 楽天市場やYahoo!ショッピングなどのネット通販
  • 業者向けオークション
  • 海外の店舗やバイヤー
  • 地金や素材としての売却

つまり、街の買取店は「小さな中古品店」というより、全国や海外へ商品を集めるための仕入れ拠点に近い存在です。

店舗では商品を集め、裏側では大規模な物流、査定、オークション、EC販売が動いている。

表から見ると静かな店内でも、その奥には大きな流通網がつながっています。

買取店の本当の強みは、販売力だけでなく、商品を集める力にあります。

同じ買取店でも、企業によって戦い方が違う

ひとことで買取店といっても、それぞれ得意分野や仕組みが違います。

買取大吉・おたからや|街中で商品を集める店舗型

買取大吉やおたからやは、駅前や商店街、ショッピングモールなどでよく見かけます。

ブランド品、時計、貴金属、切手、古銭など幅広い商品を扱い、入りやすい小型店舗を多数展開しているのが特徴です。

フランチャイズ方式を活用すれば、本部がすべての店舗を直接運営するよりも、短期間で店舗網を広げやすくなります。

一方で投資家目線では、店舗数だけでなく、

  • 既存店の買取額
  • 加盟店の収益性
  • 査定品質
  • 広告宣伝費
  • ブランドへの信頼

まで確認したくなります。

店舗が増えることと、利益が増えることは必ずしも同じではないからです。

バイセル|出張買取から店舗買取へ

バイセルは、着物などの出張買取で知った人も多いと思います。

自宅まで査定員が訪問する仕組みは、量が多い人や、店舗まで運ぶのが難しい人に向いています。

近年は出張買取だけでなく、店舗での買取も強化しています。

運営するBuySell Technologiesは、M&Aも活用しながら事業規模を拡大し、出張買取と店舗買取の両方を成長させようとしています。

投資家として見る場合は、売上高の成長だけでなく、

  • 出張訪問1件当たりの採算
  • 広告から問い合わせにつながる割合
  • 査定員の採用と教育
  • M&A後の利益改善

が重要になります。

テレビCMやネット広告を多く出せば問い合わせは増えますが、広告費が増えすぎれば利益を圧迫します。

なんぼや|買取からオークション、海外販売まで

なんぼやを運営するバリュエンスグループは、ブランド品、時計、宝石、貴金属などを中心に扱っています。

特徴的なのは、買い取るだけでなく、業者向けオークションや小売ブランド、海外展開まで持っていることです。

自社で商品を集め、自社グループの販売網やオークションを通して流通させる。

この仕組みがうまく回れば、一つの商品から複数の収益機会を作ることができます。

一方で、海外展開には為替変動や現地の景気、店舗運営コストなどのリスクもあります。

コメ兵|買取だけでなく「売る店」としても強い

コメ兵は、買取店というより、大型の中古ブランド品販売店という印象を持つ人も多いかもしれません。

時計、ジュエリー、バッグ、衣料品などを買い取り、自社店舗やオンラインで販売しています。

個人から良質な商品を仕入れ、それを小売で販売できれば、業者へ卸すより高い利益を狙える可能性があります。

ただし、小売を強化すると、

  • 店舗の家賃
  • 接客スタッフの人件費
  • 在庫管理
  • 商品が売れるまでの保管コスト

も増えます。

買取額が増えても、在庫ばかり積み上がって売れなければ、資金繰りは苦しくなります。

ゲオ・セカンドストリート|生活用品まで扱う総合型

ゲオはゲーム、スマートフォン、タブレットなどに強く、セカンドストリートは衣料品、家具、家電、生活雑貨まで幅広く扱っています。

ブランド品中心の買取店と違い、私たちが普段使っている身近な商品を大量に取り扱うモデルです。

セカンドストリートは国内だけでなく海外にも店舗を広げています。

日本では売れにくい商品でも、国や地域が変われば需要があるかもしれません。

販売先が広がるほど、買い取れる商品の幅も広がります。

これは大きな強みです。

投資家なら、売上高より先に見たい数字がある

成長している市場を見ると、つい売上高や店舗数に目が向きます。

しかし、リユース企業では、売上高だけを見て判断するのは少し危険です。

① 売上総利益率

買取価格と販売価格の差から、商品の整備費用や物流費などを考慮した利益がどれくらい残っているかを見る数字です。

高く買い取りすぎれば、売上は伸びても利益が残りません。

競合店が増えると、商品を確保するために買取価格を上げる必要が出てくる可能性もあります。

② 在庫回転率

買い取った商品が、どのくらいの速さで売れているかを見る指標です。

中古品は、一つひとつ状態や価格が異なります。

売れない在庫が増えれば、値下げや評価損が発生する可能性があります。

買取が好調というニュースを見たときほど、棚卸資産が増えすぎていないか確認したいところです。

③ 営業キャッシュフロー

利益が出ていても、在庫の購入に多額の現金を使っていれば、手元資金は増えません。

特に急成長している企業では、

  • 買取増加による在庫の増加
  • 新規出店費用
  • 広告宣伝費
  • M&A費用

が重なることがあります。

損益計算書では成長していても、キャッシュフローは苦しくなっていないか。

ここは必ず確認したいポイントです。

④ 既存店の成長率

新しい店舗を増やせば、全体の売上高は伸びやすくなります。

しかし、本当にブランド力が高まっているかを見るには、以前からある店舗の買取額や売上高も重要です。

新規出店だけで成長しているのか。
それとも既存店も強くなっているのか。

両者では、成長の質が違います。

⑤ 広告宣伝費と顧客獲得効率

買取業界では、「今なら買取額アップ」「出張査定無料」といった広告をよく見かけます。

認知度を高めるために広告は必要ですが、広告費を使わなければ商品が集まらない状態では、利益が安定しません。

広告費を増やした以上に、買取額や利益が増えているかを見る必要があります。

成長市場でも、リスクは意外と多い

リユース市場が拡大しているからといって、すべての企業が順調に成長するとは限りません。

商品の奪い合い

買取店が増えるほど、良質な中古品の取り合いになります。

査定額を高くしなければ商品を集められなくなれば、利益率が低下する可能性があります。

金価格や為替の変動

貴金属や高級時計、ブランド品は、金価格や為替の影響を受けます。

相場が上昇しているときは追い風になりますが、急落すると高値で買い取った在庫の価値が下がることもあります。

偽物と査定ミス

ブランド品や時計では、偽物を見抜く査定力が欠かせません。

店舗数を急速に増やすほど、人材教育や品質管理の難易度も上がります。

信用を失うリスク

買取価格は消費者にとって分かりにくいものです。

強引な営業や分かりにくい説明が問題になれば、一度のトラブルで企業ブランド全体が傷つく可能性があります。

リユース企業にとって、在庫と同じくらい大切な資産は信用なのだと思います。

これからも買取店は増えていくのか

私は、リユース市場そのものは今後も必要とされる可能性が高いと感じています。

物価高だけでなく、

  • 節約意識の高まり
  • 環境への関心
  • 生前整理や遺品整理
  • 中古品への抵抗感の低下
  • ECや海外販売の拡大
  • 査定技術のデジタル化

など、複数の追い風があるからです。

ただし、今後は単純に店舗を増やせば勝てるというより、

  • 商品を安定して集める力
  • 正確に査定する力
  • 早く適正価格で販売する力
  • 国内外に販路を持つ力
  • 顧客から信頼される力

を持つ企業が強くなっていくのではないでしょうか。

街に増えた買取店は、時代の変化を映していた

最初は、

「こんなに買い取って、本当に売れているの?」

という素朴な疑問でした。

しかし調べてみると、買取店は単に中古品を集めているわけではありませんでした。

街の小さな店舗で集められた商品が、ECサイトや業者向けオークション、海外店舗を通じて、次の持ち主へ渡っていく。

昔は、使わなくなったら捨てることが多かった。

今は、使わなくなった物を売り、それを必要な人がもう一度使う。

街に増えた買取店は、

「新しい物を買う時代」から
「今ある物の価値をつなぐ時代」へ

そんな変化を映しているのかもしれません。

そして投資家の目線で見ると、街で見かけた一つのお店から、市場の成長、企業の戦略、在庫、利益率、キャッシュフローまで見えてきます。

何気なく歩いている街の景色も、少し立ち止まって考えてみると、立派な投資のヒントになるのだと思います。

免責事項:
この記事は特定の企業や株式への投資を推奨するものではありません。掲載内容は記事作成時点の公開情報をもとにした個人の考察です。投資判断は企業の最新IR資料などを確認したうえで、ご自身の責任でお願いいたします。

※この記事は特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断は必ずご自身で行ってください。

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